福おちょこ、高田松原バージョンの売り物に出来なかった最初の練習に使
った100個の二つを坂井フォトスタジオ(陸前高田市内出身)さんに撮影して
もらいました。パンフレットや販促の楯の一本松の写真を提供して頂ました。
素晴らしい写真です。圧倒的なプロの写真はイイ。
ん・・だからプロなんだもんなあ〜っ。
陸前高田市の高田松原の被災した松の木、それを微粒子の松炭にして、大船渡
市末崎町(最端)の仮設住宅の集会所で、65歳〜75歳過ぎのお母さん達に、摺り
込み拭き上げ、上塗りを繰り返して、製品化しています。もう400個はやった
かなあ・・・失敗が100個を超えているから、売り物は300個ギリギリ。150個
は売れて、150個は蒔絵師待ち。持って行けば無くなる状況。
どうして、こう言う仕事が出来たのか・・。
末崎町の仮設住宅に、元マイヤ取締役で末崎(碁石)出身の及川宗夫62歳がお
りまして彼とのアイディアでした。彼は自宅が流されました。息子は大阪や
盛岡市・市役所勤務にいたり、奥様の実家や親類等で家も有り、被災後に末
崎の仮設に入らなくても良い状況を持つ方なのですが、(株)マイヤの社員〜
取締役をして定年退職。
マイヤ・スーパーに勤務時代は三陸地域の方々にお世話になり、支えられて
仕事をした、こんなに世話になって来て、自分だけが家では暮らせない。仮設
住宅に一人で入り、そして色々と地域にやれる事をやるんだと言う事で、現在
仮設住宅にいる方です。
私とはマイヤで出会い26年来の深い友人です。
彼と仮設住宅で話していて、高橋さんは木工やっているけど、あの黒っぽい
漆器は何・・なの・・と言う話しになって、あれは黒拭き漆と言う仕上げで、
松煙の炭を取って、漆に混ぜて塗る(摺り込み拭き仕上げ)物なのです。と教
え、かつ京都の塀とかの黒いのは、松炭を漆に混ぜて塗っているんですよ、
と言いましたら、彼(及川氏)が、ふう〜ん・・それってさ、高田の松で何か
にしてやったらイイのにね、高橋さん出来ないの・・と言われました。
なる程!!ポンと手を叩いて、それは良いですね。ちょっと思案して見ます。
うちのおちょこに塗れないかな〜・・と。
と言う事で盛岡に帰り、色々な友人に話してみました。そうしましたら、その
中の一人、19年来の友人であるデザイナーの山崎文子さんに相談。木材を探す
から・・と、その日の内に盛岡木材商会の塩谷社長に繋がり、俺の所に高田松
原の松の木材がある。と言う事で、交渉しました。何とそもそも盛岡木材商会
の塩屋社長は当社に塗装剤を納めてもらっていましから、知り合いですし取引
先でした。何と・・社長・・と頂きに上がりました。この塩屋さんは、鎌田デ
ザインの鎌田玄さんの紹介で知り合った方です。鎌田さんが良い塗装剤がある
よ・・と。
そして、炭にするか・・どうすんべ・・・。これは岩手県産業振興センターの
佐々木尭さんと言う方に相談してみました。あれで、これで、こうなって・・・と。
解った高橋和良さんの頼みだ、何とか色々と聞いて回るからと。そして数日後
に彼から連絡が来ました。又県の組織からの紹介で、久慈市山形村の有名な炭
職人がいるとの事で、岩手県産業振興センター経由で木材をお渡しして、お願
いしました。仲介してくれた方が久慈に持ってってくれると。但し、時間を下
さいと言う事ででした。そして、良い粉にする会社があるから、そこに頼むか
らと。どれぐらいの粉にすれば良い・・・と、もうコンパウンドに近い、それ
以上の炭にお願いしますと。
それから4ヶ月し、お願いした松原の松が微粉炭になりました。昨年の9月頭か
ら始まり、10月に木材、12月末(24日の到着)になって微粉末になりました。
さて、一般的な塗料に混ぜても、木材に確りと入って行きません。当たり前と
言えば当たり前です。漆器の場合は松煙から炭を取り出すので、もう微粉末所
の話しではありません。もっと細かいです。一般人出来るようにと考えて、食
品認定を取っている、超ナノテクノロジィーで仕上げた、ナノクリアス塗料(鎌
田氏から塩屋氏に繋いでもらって発見した塗料)に松炭を付けて、木地に摺り込
んで見ました。おちょこ木地の外側に塗り込んだ訳です。驚く事に拭き漆の漆
器のように出来上がりました。こりゃ、行けるかも・・・と、大船渡の末崎の
仮設にいる及川氏に持って行きました。結果、おおうこりゃ格好良いかもな
あ〜・・これで酒を飲んだら・・。
よしっと、及川さん、これをこの仮設住宅で仕事が無い、お母さん達でやって
見れないかなあと持ちかけました。ん!!良いアイディアだね、ちょっと何人か
話して見るからと、そこで話し合いは終わり、田沢湖に帰りました。田沢湖と
は往復400キロ、今年は昭和55年以来の豪雪の季節、とても大変でした。1月に
なり、末崎の仮設住宅に集会所が出来るから、そこで何人かに、ちょっとやら
せて見せてと言う事になり、木地は葛巻林業に頼み100個を持って行きました。
65歳〜75歳過ぎのお母さん達に、指導しながら、やらせて見ました。なかな
か年齢も行っている方もいるので、細かい事を言ったり、責めたりしたら、辞
めると言い兼ねないから、とにかくじっくりね・・と言う事で及川氏と共に、
高橋一家も幼児の子供も連れて、笑い溢れる場を作りつつ、やって行った訳です。
あまり最初っから細かく言うと、人間は歳と共に新しい事に挑戦するのは大変
ですし、まして木工?・・塗装?・・・私達で出来るのか・・と言う事で、お母
さん達も、怖々、ビビる、緊張する、力が入り過ぎるで、本当に思ったように
はならず、超高級塗料も凄い勢いで減り続ける、木地だって一つ750円+消費税
の物、激安にしてはもらっているとは言え、100個数だと塗装や炭、なんやかん
やで10万円は直ぐに吹っ飛ぶ・・・。毎週行きながら、引き取り、木地と材
料・塗料を置いて、そして少しづつ指導・・・。
とにかく作業の場には、笑いを絶やさないように、かつプレッシャーを与えな
いで、でも向上させるようにやる。及川宗夫さんも一緒に塗りながら和気あい
あいを続けながら製品化をしていました。そして、「3月11日」の売り出しの為
に、50個ぐらいを前日の10日、川徳壱番館のキューブ店さんに納品しました。
人と人との繋がりで、完成した、福おちょこの高田松原バージョン。
そして、良くも挑戦してくれたお母さん達。新しい事をするのは負担があるのに。
でなくても、津波で被災して仮設住宅にいるのに・・。プレッシャーを感じながら。
本当に良くも夜な夜な集まって、使わない夜に(集会所は皆の場所なのでここで
稼ぐ事を優先しては・・と気遣い)、お母さん達は笑いながらやっていました。
この内職代から、この集会所の運営費にも出すべとお母さん達が話し合って決
めて。確りと回りに気遣いしつつ、そして夜な夜なの内職、そして挑戦となっ
た産物でした。
さてさて・・
午前11時ぐらいだったと思います。説明用の縦(デザインは山崎文子氏、ついた
て製造は鎌田デザイン)を後ろに置き、前に4種類の福おちょこを並べたそうで
す。午後からだと思います。岩手日報さんも面白い商品だからと取り上げて頂
き3月11日の朝刊に乗せるからと言われていました。さてさて11日が来るぞと、
高松の池で子供達を遊ばせて、イオンでげんこつラーメン食べて、雫石を超える頃・・
皆で田沢湖に帰る途中、美栄子さんの携帯電話が鳴る・・・。
川徳壱番館キューブ店さんから・・すみません、並べてみたら明日になる前
に品切れで・・・・。白い蹄鉄の蒔絵入りが。
ヤバイ!!岩手日報の記事が明日乗る・・在庫無しってのはまずい。と一個だけ
ある白い蹄鉄を11日に持って行くが、その時にも、蒔絵入りは全部売れました。
売れなかったら、もしも駄目だったら、末崎の及川氏、お母さん達に合わせる
顔が無いね、そして行きづらくなるね・・あ〜怖いな、怖い怖いと帰る途中で
の出来事でしたから、売れた!!!!。ヤッホー!!。バンザイ!!。やった売れた〜
と車内は大興奮。そんな3月10日の前日でした。末崎の及川さんに即、電話を・・売
れたって。ここが及川氏の良い所で、あっそ・と素っ気ない感じ・・ん??。
もっと喜ばないの及川さんお母さん達にも言ってよっ。ん・・確りとさっ、作
る指導と体制つくらないとさっ、駄目じゃん。これ売れるんじゃ無い・・・。
はははは、26年前と何も変わらないなっ、お互いに。流石に40台前半で取締役
になる人、質実・堅実・細かい、の役員だったから、まずは喜ぶ前に現実を見
ると言う性質の彼。そして、私の電話、まずさっ、ちょっとさっ、喜んで
よ・・。そして彼は、ああ喜んでいるよ、私の顔が見えて無いから解らない
だろうけどもね、冷静な声だろうけど、凄く喜んでいるよ。緩みっぱなしだよ〜。
ははははっっっ・・・・。携帯電話を画像テレビ電話にしないと・・。
今週3月の最後の週初めに、仮設で塗ってもらっている一番年上のお母さんで、
何時もニコニコで一番の力がある真っ黒いおちょこを作っている方の、旦那さ
んが亡くなったそうです。心配かけるから言わないで・・と。塗っている頃に
も、旦那さんが入院したり、危ないとか、色々とあったようですが、その最中
に行っても、楽しい、やりがいあると終止ニコニコと。
聞いて愕然としました。浜の女は強いし、我慢強い、そして明るい。
震災の被害が無い、人災だけの私の一家は何んて幸せかと。緩く生きている
なあ〜・・。
来週は花と香典を持って、黙っていてと言われても・・・出来ない私達は、末
崎に行こうっと。と連絡くれたリーダーさんの気持ちを無視出来ないが、これ
だけは・・・。
こんな感じで出来上がった「福おちょこ・高田松原バージョン」でございま
す。このお母さん達の一人は、実の弟さんが、陸前高田市役所に勤められて
いて、津波の日は流されて、この蒔絵にある一本松の本当に近くの建物に引
っかかって亡くなっていたそうです。
発売前にお母さんが、実はね・・と話してくれました。これを塗って、蒔絵
見ていると弟を思い出すし、弟のように思う・・と。このおちょこに塗る運
命だった人なのかもな・・と思いました。
おちょこは2,950円、仕切りは65%で川徳さんに。
木地は750円(格安)に、蹄鉄350円、特注真鍮ネジが60円切るかな、箱、包装、
それから緩衝剤、炭代金(炭と粉にした外注費)、そして高級塗装は80円ぐら
いかなあ〜。そして、パンフレットデザイン、印刷代金。
そして、末崎の仮設住宅のお母さん達には、一個から400円を内職代金で。
約1,950円の中で・・・ん・・・・まずは当社はイイんです、次の繋げて行
かなければ。